[exam]人間ドックの検査説明:乳がん検診

専門ドック / 執筆 : FRONTEOヘルスケア

乳がん検診

女性のがんで最も多い「乳がん」を調べる検診です。

乳がんは早期に見つかれば治る確率の高い病気です。定期的な乳がん検診で早期発見、早期治療を心がけましょう。

乳がんの患者数は年々増えており、現在では女性がかかるがんの第1位です。乳がんの治療は選択肢が多く、また有効な薬の開発も進んでいるため、初期の段階で見つけることができれば治癒率や生存率の高いがんでもあります。

 

乳がん年齢

知っておきたい

がんになりやすいのは30歳代後半以降の女性です。特に40歳後半から60歳代に多いので、この年代の方は毎年検診を受けるようにしましょう。またそれ以外の年代の方でも、発症リスクが高いと考えられる場合は積極的に検診を受けましょう。

 

どういう検査?

基本検査は「乳房の視触診」です。視触診では乳がんの症状に特徴的な「しこり」がないかを調べます。 さらにX線による「マンモグラフィー」や超音波を利用した「乳腺超音波(乳腺エコー)検査」を組み合わせ、視触診ではわからない初期の段階の異変を探すことができます。 「マンモグラフィー」と「乳腺超音波検査」はそれぞれ見つけやすい病変が異なるので、できるだけ両方の検査を受けることをおすすめします。 施設によっては、強力な磁力を用いたMRIを使い乳房を撮影してがんを調べる乳腺MRI検査を実施する場合もあります。

乳腺の発達した20歳代、30歳代の方は「マンモグラフィー」では判断しにくい場合があるので「乳腺超音波検査」を優先して受けるとよいでしょう。

乳がん検診という名前でも、検診の内容と費用は実施施設により異なります。自分の受けたい検査が含まれているか、申し込みの前に確認しましょう。検査を希望する医療機関に、必ず確認するようにしてください。

 

乳がん検診の料金相場

15,000円~20,000円前後

※施設により異なる

40歳以降では、市区町村または加盟している健康保険組合により無料で受診できたり、補助が出る場合があります。その場合、費用は無料〜3,000円程度です。

40歳未満では、ほとんどの場合、自費になると思っていたほうがいいでしょう。ただし、病院で医師の診察を受け、乳がんの疑いがあり検査が必要とされた場合には、保険がききます。

 

各検査の費用

参考として全額自己負担の場合は以下のようになります。このほか診察料がかかります。

マンモグラフィー検査 5,000円前後
乳腺超音波 3,500円前後
乳腺MRI 30,000〜45,000円前後

 

乳房視触診

医師が直接目で見たり触ったりして、乳房に異常がないかを調べます。

乳がんで最も特徴的なのは「しこり」です。また乳房の形が変わったり、がんが周辺の組織を引っ張って「えくぼ」のようなくぼみができたりします。その他にも乳頭から黒っぽい分泌物が見られることがあります。

視触診検査ではこれらの症状が出ていないかを丁寧に調べます。
乳がんの発見には、医師の経験により差が生じます。

 

乳房視触診の結果

しこりができる病気は乳がんだけではなく「乳腺症」や「乳腺線維腺腫」なども考えられます。視触診により発見されたしこりの8割は、精密検査で良性と診断されています。迷っている方はぜひこの機会に検査を受けてみましょう。万が一乳がんと診断されても、早期に発見されれば効果的な治療を受けることができ、生存率も高くなります。

 

マンモグラフィー

マンモグラフィーは乳房を撮影するために開発されたX線装置です。
この検査では、触診ではわかりにくい早期の段階の小さなしこりも見つけやすくなります。

 

マンモグラフィー画像の見かた

乳がんが疑われるのは腫瘤(しゅりゅう)とよばれる塊や、カルシウムが沈着した「石灰化」が見つかったときです。マンモグラフィーは石灰化の発見に優れています。
マンモグラフィーの画像では、石灰化は白く、脂肪は黒く写ります。乳腺も白く写るため、20〜30代の乳腺が発達した年代では、石灰化と乳腺の識別がしづらく、乳腺超音波検査のほうが適しています。
40代以降になると乳腺は衰え脂肪が多くなりますので、マンモグラフィー検査で小さな石灰化でも検出しやすくなります。

 

マンモグラフィー検査のコツ

マンモグラフィーで鮮明な画像を得るためには、乳房をなるべく平らにのして撮影します。検査では乳房を2枚の透明な圧迫板に挟んで平らにのしますが、このときに痛みを感じることがあります。ただし平らにすればするほど、撮影の際のX線の被曝量が少なくて済むことを理解しておきましょう。

生理前には乳腺が発達して痛みが強くなりやすいので、直前1週間はなるべく検査を避けたほうがよいでしょう。

妊娠中の方は検査を受けられません。

 

マンモグラフィー検査の結果

マンモグラフィーを受けて「異常あり」の結果が出る人は5〜10%と報告されています。マンモグラフィーで見つかった「石灰化」は良性の場合も多く、実際に乳がんの診断を受ける人は非常に少ないので、異常があれば落ち着いて精密検査を受けましょう。

 

乳腺超音波(乳腺エコー)検査

乳房に超音波を当てて、はね返ってきた音波をもとにして異常を見つける方法です。マンモグラフィーでは判断しにくいしこりであっても、超音波検査では見つかることがあります。

この方法では乳腺の発達した20歳代、30歳代の方の乳房でも、しこりを見分けることができます。
乳腺超音波検査はX線を使わず、放射線被曝がありません。ただし超音波検査では治療の必要のない良性の変化も検出してしまいやすく、病気の発見につなげるには経験の豊富な医師による診断が不可欠です。

 

乳腺MRI

強力な磁力を発生するMRI(磁気共鳴画像法)を使って乳房の画像を撮影し、腫瘍と正常な乳腺組織を鑑別する検査です。

乳房触診でしこりに触れず、マンモグラフィーや乳腺超音波でがんの疑いがあった場合しこりに触れるけれども、マンモグラフィーと乳腺超音波で良性/悪性の判定が一致しなかった場合などには、乳腺MRI検査が行われます。
人間ドックの乳がん検診には、施設により、この乳腺MRIがコースに入っている場合があります。

乳腺MRI検査では、撮影法により画像のコントラストを調整でき、あらゆる角度から断層画像を撮影できます。しこりがある場合、良性/悪性を判定することも可能です。

早期乳がんの検出率が非常に良い検査ですが、他の検査に比べ、費用も高額です。

ガドリニウム造影剤を使う場合があります。気管支喘息があったり、アレルギー体質の人は副作用が出やすいため、申し込みの前に相談してください。

妊娠中は基本的に受けられません。

体内にペースメーカー等の金属機器が埋め込まれている方は検査を受けられません。

狭い装置の中で30分程度じっとしている必要がある検査となるため、閉所恐怖症があれば相談しましょう。

体に刺青、タトゥー、アートメイクをしている場合、検査ができない場合があります。

 

乳がんのリスクが高い人は?

乳がんには様々なタイプがあり、中でも女性ホルモンと大きく関わるタイプの乳がんは、出産経験と発症リスクに関係が見られます。

 

覚えておきたい 乳がんリスク

  • 出産経験のない女性は出産経験のある人に比べ、乳がんの発症リスクが約2倍高い
  • 授乳経験のない人は、授乳経験がある人よりも発症リスクが高い
  • 出産回数が多い人ほど、また初産の年齢が低い人ほど発症リスクは低い
  • 初産が30歳以降だと、出産未経験の人より発症リスクが高い
  • 初潮年齢が低いほど、また閉経の年齢が遅い人ほど発症リスクが高い

 

女性ホルモンと乳がん

おそらく上記の乳がんリスクの差は、乳腺が女性ホルモンにさらされる時間が長ければ長いほど、発症リスクが高まるためではないかと考えられています。
最近の研究では、女性ホルモンは肺がんとも関連していることが指摘されています。

 

女性ホルモンに依存しないタイプの乳がん

一方、乳がんには女性ホルモンに依存しないタイプもあり、このタイプの発症リスクは出産経験や初潮年齢と関係ありません。そのため出産経験に関係なく、定期的に乳がん検診を受けるようにしましょう。

 

遺伝と乳がん

乳がんの約1割は遺伝性です。遺伝性の乳がんを発症された方の多くは、BRCA1またはBRCA2と呼ばれる遺伝子に異常が見られます。ただしこれらの遺伝子に異常があるからといって、必ず乳がんを発症するわけではありません。それよりもむしろ、生活習慣や食事による影響のほうが大きいと考えられています。

 

生活習慣と乳がん

最近では、生活習慣が乳がんの発症に大きく関わることが明らかになっています。特に閉経後の女性では肥満傾向の女性のほうが、乳がんの発症リスクが高まりますしかし閉経前では逆に、肥満傾向にある女性のほうが発症リスクは低くなる、と報告されています。さらにお酒を飲む人は発症リスクが高くなり、飲む量が多ければ多いほどリスクは高まります

発症リスクが高いとされる年代や生活習慣にあてはまる方は、早期発見のためにも、毎年乳がん検診を受けるようにしましょう。


出典:YOUR DOCK編集部(検査一覧に戻る