[exam]人間ドックの検査説明:頸動脈超音波(エコー)

オプション検査項目 / 執筆 : FRONTEOヘルスケア

(監修:杏林大学医学部付属病院脳卒中センター長 平野照之)

頸動脈超音波(エコー)

脳へ血液を送る重要な役割を果たす頸動脈に超音波をあててその様子を画像化し、血管の様子を視覚的に調べる検査です。

 

頸動脈とは?

頸動脈とは、首の左右を走る太い動脈血管で、脳へ血液を送る大切な役割を果たしています。この検査では、首の部分に超音波を発する機器をあて、そこから得られるデータを画像としてモニターに写すことで、頸動脈の内部の様子について視覚的に調べることが可能です。頸動脈の内部が詰まっていたり、頸動脈を流れる血液の流れが速い場合には、動脈硬化の可能性が疑われます。

動脈硬化とは?

動脈硬化とは、動脈と呼ばれる血管が硬くなったり厚くなったりして、血管の構造がこわれ、機能が悪くなっていることを総称する言葉です。

中でも近年増えているのは粥状硬化と呼ばれるもので、血管のいちばん内側にある内膜におかゆのようなどろっとしたコレステロールがたまっていき、血管が狭くなり、血管の流れが悪くなって血の塊(血栓)ができたり、それが壊れてただれたようになったりしていきます。

動脈は身体の様々な場所に通っていますので、一カ所で動脈硬化が見つかると、心臓で起こる「心筋梗塞」や脳で起こる「脳卒中」など、体中の様々な部位の動脈硬化による病気が心配されます。

脳卒中や心臓病は日本人の死因の中でも第2位と第4位を占め、2つを合わせればがんに匹敵するほど多くの人が毎年亡くなっています。動脈硬化の早期発見は、こうした死亡リスクの高い病気の予防にも繋がります。

 

どういう検査?

横になった状態で、首の部分に超音波を発する機器をあて、左右から頸動脈の様子を観察します。

この検査では、超音波による画像データを用いることで、頸動脈の内部の様子を検査することができます。特に、頸動脈内腔の広さや、頸動脈を流れる血液の流速、頸動脈の壁の厚さについて検査を行います。

頸動脈内腔が狭くなっていたり、血液の流れが通常より速かったり、頸動脈が分厚くなっていたりなど、動脈硬化につながる異常が発生している場合には、この検査により早期に発見することが可能です。

動脈硬化は、頸動脈だけでなく、脳や心臓の血管でも起こりうる病気です。頸動脈は、体内の他の血管と比較して、超音波によって観察しやすい部位にあります。頸動脈の様子を調べることで、全身の血管に対する動脈硬化のリスクについて調べることができます。

 

検査のながれ

1. 前日

特に準備することはありません。

 

2. 検査当日

検査会場で受付を済ませたあとは、検査着に着替えます。検査の邪魔にならないよう、アクセサリー類は外しておきましょう。

 

3. 検査の前準備

頸動脈超音波検査は、仰向けになった状態で検査を受けます。そのため、検査着のままベッドに上がり、仰向けの状態になります。このとき、頸動脈の様子をより観察しやすくする目的で、首に潤滑ゼリーを塗ります。

 

4. 超音波機器による観察

潤滑ゼリーを塗った部分に、プローブと呼ばれる、超音波を発する機器をあてます。痛みなどを感じることはありませんが、頸動脈の部位によっては、首をかしげたり、頭を動かしたりする必要があります。

 

5. 検査終了

左右から頸動脈の様子を観察したら、検査は終了です。首に塗った潤滑ゼリーは、検査終了時に拭き取ってもらえます。
頸動脈の見やすさにもよりますが、10分から20分程度で終わる検査で、痛みを感じることもないため、リラックスしてのぞみましょう。

 

頸動脈超音波検査のメリット・デメリット

メリット

  • 放射線被曝がない
  • 痛みがない

デメリット

  • 目視で確認する検査のため、検査を行う医師や技師の技術に左右されやすい
  • 検査中、自分で姿勢を変える必要がある

 

どんな人におすすめ?

  • 動脈硬化のおもなリスクのひとつに、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)の増加が挙げられます。LDLコレステロールが血管の中で脂肪の塊となり、血管壁にこびりつくことで、動脈硬化を引き起こすケースが多く見られます。健康診断で、LDLコレステロールの値が140mg/dL以上であれば、動脈硬化の早期発見のためにも、頸動脈超音波検査をおすすめします。
  • 善玉コレステロールとよばれるHDLコレステロールが40mg/dLと少ない場合にも、動脈硬化を起こしやすくなっていると考えられるため、頸動脈超音波検査がおすすめです。
  • 動脈硬化のリスクは、このほか、加齢による血管の老化や、糖尿病・高血圧などの病気、喫煙習慣やストレスによっても高まります。心配なときは、頸動脈超音波検査を一度受診してみることをおすすめします。

 

頸動脈超音波検査でわかるおもな病気

  • 動脈硬化

 

動脈硬化の関連疾患

狭心症、心筋梗塞

  • 心臓は、からだ全体に血液を送り出し、循環させる役割をもった筋肉(心筋)によって構成されています。動脈硬化の影響により、この心筋そのものに血液が流れにくくなると、狭心症と呼ばれる病気になります。狭心症の症状そのものは、発作的な胸の痛みや圧迫感など、一過性のものがほとんどですが、これが進行すると、心筋が完全に働くことができなくなる心筋梗塞が起こってしまいます。

 

脳卒中

  • 脳卒中には、血管が詰まって起こる脳梗塞と、もろくなった血管が破れて出血しておこる脳出血の2つの種類に大きく分けられます。動脈硬化はこのどちらの原因にもなりますので注意が必要です。腕や足のまひ、意識がもうろうとするなどの症状が現れます。

 

閉塞性動脈硬化症

  • 腕や足に通っている動脈にうまく血液が流れなくなり、冷たさやしびれ、動かしにくさを感じる病気です。特に、足の方に症状が出やすいとされています。初期のうちは、一時的なしびれを感じるのみですが、進行すると痛みを伴うようになり、最終的に、全く血液の流れない状態になると、壊死(えし)と呼ばれる状態になります。壊死を起こした部位は、最悪の場合、切断が必要となります。

 

大動脈瘤

  • 動脈硬化の影響で、胸やお腹に通っている太い血管(大動脈)に、「こぶ」が発生する病気です。この「こぶ」は少しずつ大きくなってゆくため、初期の内は症状に気付かないことも多いのですが、お腹の「こぶ」の場合は、上から触った場合に異物感を覚えることがあります。しかし、胸の大動脈にできている「こぶ」は、レントゲン写真を撮らないと気付くことができません。
    「こぶ」が大きくなって破裂した場合、強烈な痛みとともにその箇所から出血を起こします。大量出血により死亡に繫がるケースもある、非常に危険な病気です。

 

大動脈解離

  • 身体を通る太い血管(大動脈)を構成している血管壁に亀裂が入る病気です。動脈硬化の影響により、血管が弱っているために亀裂が入りやすくなっていることが原因と考えられていますが、亀裂が入った部分からの出血により死亡するケースが多いため、すぐに処置が必要となる危険な病気です。胸や背中、腕や肢の急な激しい痛みが症状として現れます。

 

動脈硬化が気になったら

動脈硬化を引き起こす主な原因は悪玉コレステロールの増加です。動脈硬化を事前に防ぐためには、現在の生活習慣を見直すことが必要かもしれません。

具体的には、

  • 煙草を吸う習慣のある人は、禁煙をする
  • 脂肪のとりすぎを控え、バランスの良い食生活を送る
  • 毎日の運動を心がける
  • 適正体重を心がける

 

動脈硬化は、死亡リスクの高い心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす危険な病気です。動脈硬化を予防するためにも、これらの生活習慣を心がけましょう。


出典:YOUR DOCK編集部(検査一覧に戻る