[archive]肥満は10種類以上のがんのリスクを高める

薬学博士編集 / 執筆 : FRONTEOヘルスケア

太り過ぎは、糖尿病や心筋梗塞などのリスクを高めるだけでなく、種々のがんのリスクを高める重要なリスク因子のひとつです。今回新たに指摘されたがんは、従来肥満に関連するという認識が薄かったものが多く、より注意が必要です。

今回、新たに8種類のがんが肥満と関係することが確実になった、という大規模な国際共同研究チームによる調査結果が、米国の著名な医学誌に発表されました。

今回そのリスクが指摘されたのは、胃がん、肝臓がん、胆嚢がん、膵臓がん、卵巣がん、脳腫瘍の一種である髄膜腫、甲状腺がん、そして血液がんの一種である多発性骨髄腫、の8種類です。既に研究チームは2002年に、結腸がん、食道がん、腎臓がん、乳がん、子宮がんの5種類について、過剰な体重との関連性を示す充分な証拠がそろったと報告していました。これで13種類のがんが肥満によってリスクが高まることが確実になったわけです。

新しくリストに加わったがんの大半が、体重と正の相関を示し、体重が増えるとリスクもより高まるようです。体重とがんのリスクは、男性も女性も同様であり、データがある世界中どの地域でも違いは見られませんでした。

太り過ぎが、がんのリスクを高める原因については多くの仮説が提出されており、過剰な脂肪が女性ホルモンや男性ホルモン、インスリンなどを過剰に生産し、また炎症反応を上昇させ、これらがすべてがんの発達に結び付くといったメカニズムが考えられるとしています。

この研究結果は、2016年8月25日付で『ニューイングランド医学雑誌』に発表されました。WHO(世界保健機関)の国際がん研究エージェンシー(IARC)が、過去1,000件以上の論文をレビューして、過剰な体重とがんリスクの関係について分析した結果に基づいています。

 

肥満は種々の病気の元になる

肥満が糖尿病や心筋梗塞など種々の生活習慣病の発症リスクを高めることは良く知られています。メタボリック症候群(いわゆるメタボ)の診断基準にも肥満が含まれています。でも肥満でリスクが高まる病気の中にがんが含まれていることは意外に知らない人が多かったかもしれません。英国の調査では、国民の75%以上の人が肥満とがんリスクの関係を知らなかったという結果が報告されています。

「太り過ぎががんリスクに及ぼす影響は、かつて推測されていた以上に大きなものでした」とIARC作業部会座長でワシントン大学のグラハム・コールディッツ博士は語っています。「今回明らかにされたがんの多くは、今まで一般の人々には、体重に関連していると思われていなかったものです。今回の知見は、明らかに世界中の人々に重大な意味をもつものといえます。現在世界で6億4千万人の成人と1億1千万人の小児が肥満であると推定されているからです。」

 

タバコばかりががんのリスクではない

がんのリスク因子としては、タバコが有名ですが、今回の結果からも明らかなように、太り過ぎもがんのリスクを高める重要な因子のひとつです。食生活や身体活動といった、変更が可能なリスク因子の中でも、肥満は喫煙に次ぐ重要な因子と考えられています。

「タバコを吸わないことに加えて、健康に良い食事と適正体重の維持、そして運動習慣をもつことは、がんのリスクを下げるための重要な生活習慣です」とコールディッツ博士は語っています。「公衆衛生上のがん対策は、もっと肥満に目を向けるべきでしょう。とはいうものの、体重を減らすのは難しいことです。うまくいかなくてもあきらめずに、体重を増やさないことに焦点を当てたら良いでしょう。」

 

最後に

「世界中で肥満者が増加を続けていますが、これは我々がこの問題に真剣に取り組むまたとないチャンスです」とコールディッツ博士はコメントしています。体重が気になる方は、この機会に自分の健康度をチェックしてみるのも良いかもしれません。


出典:『ニューイングランド医学雑誌

出典:KENKO JIMAN編集部(薬学博士編集:山野秋生)