[archive]仕事のストレスが男性のがんリスクを高くする

薬学博士編集 / 執筆 : FRONTEOヘルスケア

ストレスの多い仕事が長期にわたると肺がんや大腸がんのリスクが高まるかもしれません。今回研究チームは男性の職業上のストレスが5つの部位のがんの発症に関連がみられたという結果を報告しています。

男性の職業上のストレスはさまざまな種類のがんに関連しているようだ、というケベック大学からの研究結果が『予防医学』誌に発表されました。仕事のストレスが長く続くことによって、肺がん、結腸がん、直腸がん、胃がん、非ホジキンリンパ腫のリスクが高まるということです。

 

仕事のストレスは5種類のがんと関連

研究チームは、1979年から1985年に11種類のがんの診断を受けた3,103名と、対照として健康な512名に聞き取り調査を行い、これまでに携わった職業について、ストレスの有無とその理由を含めて詳しく調べました。そして統計的な手法を用いて、職業上のストレスとその期間が、がんの発症にどのように影響したかを解析しました。対象者は平均して4つの職業に就いていましたが、中には12種類以上の仕事を経験した人もいました。

データ解析の結果、ストレスの多い仕事に少なくとも1つ以上就いた人に、11のがんのうち5つの部位のがんと統計的に有意な関連がみられることが明らかになりました。ストレスの多い仕事に就いた期間が長くなるほど、肺がん、結腸がん、直腸がん、胃がん、非ホジキンリンパ腫のリスクの高まったということです。そうした関連は、15-30年あるいはそれ以上にわたって仕事のストレスを受けていた男性で観察されました。期間が15年に満たなかったストレスががんのリスクを有意に高めることはありませんでした。

最もストレスの多い仕事は、消防士、工業技術者、航空宇宙技術者、熟練機械工、自動車及び鉄道修理工などでした。同じ人でも時期によって受けるストレスの強さには変化がみられました。研究ではまた、自覚されたストレスが、仕事の作業量の多さや時間的な制約だけには限定されないことが示されました。顧客サービス、営業ノルマ、責任、心配性、不安定な仕事、財政的な問題、困難や危険の多い職場環境、きびしい監督者、内面的な葛藤、通勤ラッシュといったさまざまな原因がストレスを生み出していたということです。

「これまでのがん研究に欠けていたのは、生涯にわたる職業関連のストレスを考慮に入れていないことです。どのくらいの期間の仕事関連ストレスへの曝露が、がんの発症にどう影響しているかを明らかにすることが不可欠なのです。私たちの研究では、個々人の職業生活のさまざまな地点においてのストレスを測定することの重要性が示唆されています」と研究チームは説明しています。

 

さらなる研究が必要

「今回得られた結果は、慢性的な心理ストレスを公衆衛生上の問題と見るべきかどうか、という疑問を引き起こすものです。とはいえ、この結果は生涯を振り返っての、仕事関連のストレスの要約的な評価を元にしており、十分に実証的であるとはいえません。信頼性の高いストレスの評価指標と、繰り返しの評価、そしてすべてのストレスを考慮に入れた疫学研究が求められています」と研究チームはまとめています。

今回の結果は、心理ストレスを客観的に測定したものでなく、本人からの自己申告に基づいているため、過剰申告が多数含まれている可能性もあります。今後、より客観的な指標に基づく厳密な研究によって確認されていく必要があるでしょう。


出典:『予防医学