[archive]全粒穀物は大腸がんリスクを下げ、加工肉はリスクを高める

薬学博士編集 / 執筆 : FRONTEOヘルスケア

ハムやソーセージなどの加工肉の摂取は、大腸がんのリスクを高めますが、全粒穀物の摂取と身体活動は、リスクを低下させるようです。リスクを下げるその他の因子として、まだ確定的ではないながらも野菜、果物、魚などが挙げられています。

米国がん研究所(AICR)と世界がん研究資金(WCRF)による最新の報告書によれば、全粒パンや玄米などの全粒穀物を毎日食べることは、大腸がんの発症リスクを低下させ、たくさん食べれば効果も増すようです。AICRとWCRFの報告書が、全粒穀物をがんのリスクを下げる独立した因子と認めたのは、今回が初めてのことです。

一方、報告書では、ホットドッグ、ベーコンなどの加工肉の日常的な摂取が、大腸がんの発症リスクを高めることも報告しています。さらに、身体活動が結腸がんを予防するという強力な根拠も見つかりました。

「大腸がんは、最も一般的にみられるがんのひとつですが、そのリスクを劇的に低下させることが可能であることを、本報告書は示しています」と報告書の筆頭著者でハーバード大学公衆衛生学部のエドワード・ジョバヌッチ教授は語っています。「この包括的な報告書の知見は堅牢かつ明確です。食事と生活習慣は大腸がんの発症に大きく関与しているのです。」

本報告書は、世界中から食事、体重、身体活動が大腸がんリスクに及ぼす影響を検討した科学研究を収集・評価しました。報告書は、2,900万人以上(うち大腸がん患者は25万人以上)のデータを含む99件の研究を分析しています。

大腸がんの発症リスクを上昇させるその他の因子は以下の通りです。

  • 赤肉(牛肉、豚肉、羊肉などの獣肉をさす)を週500グラム(調理後)以上
  • 過体重(BMIが25-29.9)もしくは肥満(BMIが30以上)
  • 毎日の2杯以上の飲酒(アルコールに換算すると30グラム以上、ビールなら2缶)

 

食物繊維、身体活動、全粒穀物でリスクが低下

報告書は、毎日約90グラムの全粒穀物の摂取によって、大腸がんの発症リスクが17%低下するだろう、と結論付けています。また食物繊維の摂取も従来通りリスクを低下するとしています。

また、身体活動については、活動的な人々は、ほとんどあるいはまったく身体活動をしない人々に比べて、結腸がんのリスクが低いとしています。ただ、注意しないといけないのは、このリスクの低下は結腸がんに対してだけで、直腸がんは除かれます。

米国では、大腸がんは男女ともに3番目に多いがんで、毎日371名が大腸がんと診断されていると推定されています。AICRでは、健康的な生活習慣を実行することによって、米国人の大腸がんの47%は予防することができると推測しています。

ジョバヌッチ教授は次のように述べています。「大腸がん予防の助けになる多くの方法は、健康全般においても重要なものです。適正体重の維持、定期的な運動、赤肉と加工肉の摂取を制限すること、全粒穀物と食物繊維をより多く摂取することで、実質的に多くのリスクが低下するでしょう。さらに、飲酒を控え目にすること(1日2杯まで)と禁煙することもリスクを低下させるでしょう。」

 

魚、果実、野菜、新たなエビデンス

報告書では、まだ全粒穀物や食物繊維ほど堅牢とはいえないけれども、可能性の高い食事性のリスク因子についても触れています。

非でんぷん質の野菜と果物については、各々1日の摂取量が100グラム以下の人には、大腸がんの発症リスクが高まるという限定された根拠(幾つかの研究で報告されているが絶対確実とはいえない根拠)がみつかりました。また、魚とビタミンCを豊富に含む食品(オレンジ、イチゴ、ホウレンソウなど)は、大腸がんリスクの低下に関連がみられました。

これらの因子については現在も研究が続いていますが、AICR栄養プログラム部門長のアリス・ベンダーが着目しているのは、植物性食品の力です。「精製穀物を全粒穀物に代え、野菜や果物、豆などの植物性食品をより多く摂取することは、がんの予防だけでなく、体重を減らす助けにもなってくれるでしょう。これは様々なリスクを低下させる上で、きわめて重要なことです。」


出典:『報告書:食事、栄養、身体活動と大腸がん2017

出典:KENKO JIMAN編集部(薬学博士編集:山野秋生)