[archive]BMIの高さは高血圧・心疾患・2型糖尿病のリスク増加に関連する

薬学博士編集 / 執筆 : FRONTEOヘルスケア

BMIが高いことといくつかの心血管代謝疾患の発症リスクの間には関連がみられるようです。研究チームはメンデル無作為化という方法を用いたより質の高いエビデンスを発表しました。

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体格指数(BMI)が高いことと、高血圧、冠動脈疾患、2型糖尿病のような心血管代謝疾患のリスクの上昇の間には関連がみられる、というエビデンス(科学的根拠)を補強する新たな研究結果が発表されました。

心血管代謝疾患(Cardiometabolic disease)とは、冠動脈疾患や脳卒中などの心血管系疾患と2型糖尿病などの代謝疾患を併せた概念で、日本ではまだあまりなじみがありませんが、メタボリックシンドローム(代謝症候群)が進行したようなものと考えればわかりやすいかもしれません(厳密には違います)。

これまで、高いBMIと心血管代謝疾患のリスクの間の関連性については、観察的な研究によって明らかにされることが一般的であり、そのため完全な無作為化ができず交絡因子の影響を完全に排除することが難しいという限界がありました。

 

メンデル無作為化で観察研究の欠点を補う

これを補う方法として最近注目を浴びているのが、メンデル無作為化という無作為化の方法です。これは遺伝子の突然変異が無作為に起こることを利用して、特定の遺伝子変異を持つ人々どうしをグループ化してデータを解析する方法です。これによって、通常の観察的な研究から潜在的な交絡因子の影響を部分的に打ち消すことができます。

英国グラスゴー大学のドナルド・M・ライアル博士の研究チームは、先行の全ゲノム解析の研究から得られたBMIに関係する93のSNP(一塩基変異)の多遺伝的リスクスコアが計算され、メンデル無作為化アプローチを用いて、因果関係を推定しました。

 

英国人12万人のデータを解析

今回解析の対象とされたのは、英国バイオバンク登録者119,859名(うち56,816名が男性、平均年齢56.87歳)であり、完全な医学検査データおよび社会人口学的データ、そして遺伝子配列データを含んでいました。参加者は、2006年から2010年の間に、英国内の22の参加センターの1つに登録して検査を受けました。今回のデータ解析は、2016年に実施されました。

解析の結果、メンデル無作為化解析によって、遺伝的な高BMI傾向と種々の疾患リスクの間に統計的に有意な正の相関が認められました。すなわち、BMIが1単位(ここでは1標準偏差)高まるたびに、高血圧の発症リスクは64%上昇、冠動脈疾患の発症リスクは35%上昇、2型糖尿病の発症リスクは253%上昇、最高血圧は1.65mmHg上昇、最低血圧は1.37mmHg上昇することが明らかになりました。

これらの関係は、年齢、性別、タウンゼンドの剥奪スコア(英国の社会科学者ピーター・タウンゼンドによって開発された社会調査をもとにした人々の生活水準の指標)、飲酒、喫煙履歴とは独立でした。

なお、脳卒中のリスクが高いこととの間には関連がみられませんでした。

 

BMIは心血管代謝疾患のリスク因子

研究チームは、本研究が、肥満率が上昇している多くの国々で公衆衛生政策に役立ち得るものであると述べています。「BMIは、一般集団における心血管代謝疾患のリスクを低下させる上で、きわめて重要な変更可能なリスク因子です。」

本研究の限界として、用いられたデータが、血中脂質パラメータや血糖値など、考えられるいくつかの因子が完全には考慮されていないものであることを指摘しています。


出典:『JAMA心臓病学

出典:KENKO JIMAN編集部(薬学博士編集:山野秋生)